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【インタビュー】前川知大

あなたの体はあなたの食べたもので作られているのです。
あなたは食べものなのです。

この夏、ロンドンにあるロイヤルコート・シアターでのレジデンスに参加したイキウメの前川知大。戯曲創作のさまざまなアプローチを体験して、確実に演劇についてポジティブになって帰ってきたという彼の最新作は、「食」についての短篇集。長いもの、短いもの合わせて4本の短篇を一気に観ることができる、イキウメ初体験の人にもオススメのシリーズです。



■「図書館的人生」シリーズについて

1回目が「死と記憶について」、2回目が「武器について」、今回は「食について」の短篇集です。もともとは、長編にはできないけれど面白そうなものや、長編の中ではこぼれてしまったものなんかを使って、スピンオフみたいなことができないかなー、と思ってはじめたのがきっかけです。そうしたら、はじめてイキウメを観る人にもとっつきやすかったみたいで、意外と評判が良かった。長編のスピンオフとしての短篇もあれば、短篇が面白かったのでふくらませて長編にしたり。今回は、長いのも短いのもありで、4本のオムニバスです。

普段の長編は、現実から少しずつずれていくような話が多いのですが、短篇の場合、いきなり「ここは賽の河原です」と現実的じゃないところからスタートしたり、短篇は作り方がぜんぜん違いますね。長編ではあまりやらないようなシチュエーション、特殊能力、そしてこんな変な人出たらおもしろいとか。滞空時間が短い分、自由度が高い。そして、スパッと終われる作品というのが、いつものとはまた違った感じで、楽しいですね。やっぱり短篇って切れ味が大事です。

■ 食について

芝居に関わる前に調理師をやっていた時期がありまして、いつかルーツ的な感じで「食」についてはやろうと思っていました。ただ、「食」とイキウメというのがあまりにも遠いという印象がありまして(笑)。今まで手をつけなかったんですが、短篇だといろいろなアプローチができるのでそろそろいいかなと思って、今回やってみました。こんなこと言って、元料理人が「食」についての作品をつくる、みたいな感じで受け取られると、それはそれで困るんですけど(笑)。作ったり食べたりするのはあまりドラマにならないし、イキウメの持ち味ともあまり相性がよくないと思います。なので、レシピ紹介みたいなものとは、まったく違う角度から、今回は副題になっている食物連鎖のエピソードを軸にしました。

人間が食物連鎖の一番上にいることになっているけれども、人間も誰かのエサになっているのかもしれない。人間を食べる存在がでてきたら、それって完全にイキウメ的じゃないですか(笑)。そして、人間を食べるモンスターがいたとしても、それも連鎖のピラミッドの内側だから、結局は仲間とも言えるんじゃないか。そしたら、その連鎖から抜けたやつ、連鎖を断ち切って、食べることそのものをやめてしまった存在というのがいたら、それはさらに上位にくる…とか、そんなエピソードを考えています。

ほかには、「健康」という視点を入れようと思っています。
前作の「プランクトンの踊り場」にもありましたが、これまでもイキウメでやってきた、なぜ人は信じてしまうのか、というテーマですね。身体にいいと思って食べるのと、知らずに食べるのとは効果は全然違うと思うんです。それは栄養学的効果半分、あとは自分自身の意思や思い込みだったり、プラシーボ効果ですよね。
有名シェフがつくるあそこの店がうまい、というお墨付きを与えられた店に行くとか、ふつうのブタよりイベリコブタってきくといい調味料になるし、やっぱりウマイね、って言ってしまう、とか(笑)。食品そのものの評価というよりは、情報の方が大事になっている。何を食べているのか、というと実は「意味」を食べているんだ、というのも今回のエピソードの軸になっています。


イキウメ「図書館的人生Vol.3 食べもの連鎖~“食”についての短篇集~」2010/11/16(火) – 20(土)


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