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「YOUPLAY vol.0を終えて」from ウォーリー木下

先月HEP HALLにて開催された、YOUPLAY vol.0「スペースレンジャーの不思議な惑星」。
スペースレンジャーたちの物語を描いた作・演出のウォーリー木下さんより、コメントが届きました。

YOUPLAY vol.0を終えて

まずは参加していただいたキャストのみなさん、ありがとうございました&お疲れ様でした。
演じるという遊びは楽しかったですか?それとも恥ずかしかったですか?

僕たちは、当初(2年前のことですが)こう考えました。
「誰でも普段、演じている。演じるということは特別なことじゃない。ならば演劇を、もっと多くの人に娯楽として提供することはできないだろうか」と。

僕は自分のカンパニーで、楽器ができない人でも演奏ができる音楽をやっています。
それは僕自身が音楽が苦手だった人生を過ごし、それに対して、もったいないなあと思った経験からうまれたものです。
実際、何でも叩けば(石ころだって食器だって)音が出ます。人が集まればセッションできます。

ならば「演技」だって、役があって、人が集まれば、セッションできるんじゃないかと。

で問題は音楽ほどに、シンプルではないところです。

そこで考えついたのが、物語とそれに伴う映像の変化の演出です。
近年、メディアアート・テクノロジーアートの分野は、日進月歩といっていいほどめまぐるしい成長を遂げています。
その分野と手を組むことで、複雑なルールの「ごっこ遊び」「演技のセッション」が、新しく刺激的なものとして受け入れられるのではないかと考えたのです。

彼らに与えられたのは、設定の書かれた役柄とちょっとした小道具と衣装。
そこにではじめて出会った10人が観客の前で「スペースレンジャー」になって物語を展開していきます。
すべてアドリブです。そしてそのアドリブにあわせて映像が変化していく。
リアルタイムで処理された彼らの動きが、プロジェクター6台による全面映像に反映される。
まるで実際に宇宙船の中にいるかのような、不思議な惑星に不時着したかのような錯覚に陥る。

もちろんスムーズに展開するためにいくつかの導線は用意しました。
その導線の中で彼らは演じます。また導線のメインとして本物の役者を起用したアニメーションを出しました。
彼はまさにリアルタイムで参加者(キャストと呼ばれます)と会話をします。
何が飛び出すか分からない、とてもエキサイティングな参加型演劇が誕生しました。

驚くことに40ステージ、すべて違うステージになりました。
発想は人の数だけあるというのは、本当だったようです。
(もちろん驚くような発想に対応するために、裏ではたくさんのドタバタがありました。これは今後の課題でしょう)

多くの可能性を秘めた作品だと確信しました。大きく分ければ理由はふたつです。

ひとつは「思ってたより参加者は役を演じる」ということ。
やはり本番がはじまるまで、本当にキャストのみんなは演じてくれるのだろうか、恥ずかしがって何にもしてくれないんじゃないか、という心配は関係者全員につきまとっていました。
なにせ、ほとんどの参加者は、演劇なんてしたことない人たちです。
どちらかといえば、演技をするということに「強い抵抗感」を感じてるはずです。
普段の「演技(たとえば上司とか母親とか)」のレベルとはやはり違います。

しかしふたを開ければ、ほとんどの人が積極的に物語を展開させ、役になりきろうとしていました。
それはまさに「子供の頃、ヒーロー戦隊ごっこをしていた男の子」「ほうきをまたいで魔女になった女の子」の姿だったのです。

二つ目は「参加型演劇における映像・音楽の演出の可能性」です。
いくつかの理由でできなかったシステムも実はあります。しかし今回のvol.0でその問題はクリアできることも見えました。
現在、キネクトや赤外線センサーを使ったパフォーマンス作品というのは多くあります。
また参加型によるインタラクティブアートというものもたくさんあります。
しかし前者の多くは、それがリアルタイムで行われているかどうかが判別つきにくいという欠点を抱えており、後者はシステムの問題でどうしても「地味なもの」になりがちな傾向があります。

参加者が動くと、映像も一緒に動く。というのは、単純に見えて、実はテクノロジーが一番伝わりやすいのです。
なんせ、観客として見てるわけではないので、そこには自分の意志が働いてるからです。
それこそまるで魔法の世界です。

僕自身、今までの演劇で培ったノウハウがすべてつぎ込めるような期待があります。
そしてそれは「演劇の解放」に繋がると信じています。
ただのワークショップでもなく、参加型ゲームでもなく、体験型アートでもないもの。

「自分たちだけの物語」をそこで出会った10人で創作する。
その物語には答えはありません。エンディングはそこに集まった10人が作り出すのです。

YOUPLAYは進化していくことでしょう。
それは体験してみないとわからないことです。
ぜひ次のvol.1に遊びに来てください。
お待ちしています。

作・演出 ウォーリー木下

YOUPLAY公式サイト
YOUPLAY公式facebook
→ YOUPLAY公式Twitter: @youplayjp


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