BLOG

【TALK】イキウメ「表と裏と、その向こう」記者発表レポート

「散歩する侵略者」(2007年9月)から10ヶ月、おまたせしました!イキウメがこんどは新作でHEP HALLに登場です。ちょっと不思議でちょっと怖いイキウメワールド。前作を観た人も観逃した人も、要チェック公演ですよ!

4月某日、作・演出の前川知大さん出席の記者発表がありました。おだやかな語り口の前川さん。作品もどこか数学的な印象なんですけど、ご本人も理系っぽい雰囲気。HEP HALLプロデューサーの星川Pは、「前川さんは藤子不二雄が好きに違いない!ドラえもんが好きに違いない!」と言っておりますが・・・どうですか?前川さん。

 

大阪のお客さんはコワイ?
maekawa.jpg去年はじめてHEP HALLでやらせていただいたとき(「散歩する侵略者」2007/9/29-30)は、お客さんが最初はすごく構えて見ているような印象があって「大阪の客席、怖えー」って思いましたね(笑)。その初日の緊張感をすごく覚えています。そんなに笑いのある作品じゃなかったので、お客さんのリアクションがわかりにくいんですが、後半はお客さんが気持ち的に前のめりになっている感じがして、物語としてすごく楽しんでくれていたんじゃないか、という印象があります。「散歩する侵略者」はすでに赤堀さん(赤堀雅秋@The Shampoo Hat)の演出作品があったり、ちょうど小説版(2007年発刊/ダ・ヴィンチブックス)が動き出していたりして、それなりに話題性のある作品だったんですが今回は新作ですので、ふんどしを締めなおしているところです。


時間を切り売りする話。

時間を売るために自分の残り時間、寿命がどれくらいか査定があって、登場人物のひとりの桜井という自称ライターの男が1日1分時間を売るんです。売ってしまった時間は死んでしまう。時間が飛ぶんじゃなくて、考え方としては死を先取りできるんですね。どうせ寝ているだろうということで夜中の4時から4時1分までの1分間だけ時間を40年計画で契約する。1日分死ぬ、つまり40年間毎日1分死に続けるんです。その彼がある日事故にあいます。その4時から4時1分のあいだに事故にあってしまっていて、気づいたらその1分間の記憶がなかったんですね。その事故の目撃者になってしまったのが主人公のヤマネくんです。ヤマネくんは毎日1分間死んじゃう桜井と、大学で唯一の友達のクロサワさんと3人で時間を売り買いしているという男のところに行って、面白半分で査定をして自分の死期を知ってしまうんですね。その査定でクロサワさんの寿命が意外と少ないことがわかって、彼女に死が訪れると思うとだんだん怖くなってくる。命を売れるんだったら買えるんじゃないか、延命できるんじゃないか、なにか抜け道があるんじゃないかということで、彼女を助けるために時間を売り買いしているということの裏にあるものに迫っていきます。

「表と裏と、その向こう」

ゲーム的な感覚で命を売ったり買ったりできるというこの設定で何を語ろうとしているかというと、ストレートな部分では「生と死」です。普通な感覚で登場人物たちが時間を売ることができてお金にしてしまったときに、それが命を売っているんだということに気づいてしまう怖さ、じゃあ買っている側は誰なんだという怖さを描きます。「表と裏と、その向こう」っていったら表と裏が生と死だとすると、その向こうっていうのはなんだろう、解脱か?という話になっちゃうんですけども(笑)。「抜け穴の会議室」(2007年/出演:仲村トオル、佐々木蔵之介)は本当の寿命は何千年で、その中で100年弱の人生を何度も何度も繰り返していくという輪廻の話だったんですが、今回は輪廻じゃないところで考えたいと思っています。メビウスの輪っていうのは輪廻に似ているようで似ていなくて、あれはひねって元にもどるじゃないですか、一周したら裏にいく。それが死だとしたら、死も同じ時間だけある、人生が80年だとしたら死も80年あってもいいんじゃないかと思って、だからその80年分の生と死を部分的に裏返してしまう、死を先取りしてしまうというアイデアです。

ヒントは省エネのおばあちゃん。

去年他界したうちの祖母は、安楽椅子に座ってテレビをずーっと一日中見たり寝てたりしていて、僕が通りかかるとすごく反応して声をかけてくるんですけど、見てないときは死んでるんじゃないか、っていうぐらい省エネモードに入るというかパソコンがスクリーンセーバーに入ってしまうみたいになってしまう(笑)。「ばあちゃん、俺が見てないとき死んでねえか」と思って。もし生きる時間残されている時間が決まっているんだったら、何もしてないときは死を小出しにしていけば死を延長できるんじゃないか、とそのとき思ったのが元になっていたりします。

テッパンのキャスト陣。

今回初出演の西牟田恵さん。キャリアも実力もある先輩に力を借りようと思ってお願いしました。内田慈さんは「散歩する侵略者」で宇宙人役をやっていただいて、とても好評で、今すごくノッテる注目の女優さんですね。安井順平さんも「散歩する侵略者」以来2回目です。主役のシンジという夫役をやってもらったんですが、もともと安井さんはお笑い畑の人なんですが笑いをとるポイントがひとつもないストイックな演技に終始してもらいましたので、今回は安井さん本来のお笑い芸人的な技術を見せてもらおうと思ってあらためてお願いしました。劇団員5人とあわせて全員で8人ですね。

さいごにひとこと。

僕らがつくっているものって、理屈っぽいんじゃないか、むずかしいことをやっているんじゃないかと思われがちなんですね。実際はじめてのお客さんはどんなもんだろう、と構えて観に来られますけど「そうでもないんだね」って言われるので(笑)、イキウメを観たことのないいろんな人に観てもらいたいですね。


タグ 

次の記事 
前の記事 

最新のスタッフブログ
リンク