

ウォーリー 今回、大人としておもろいことするって、ほんとにがんばらないといけないんだと思いました。やっぱりエネルギーの量って絶対的にその作品に反映されて伝わるから。僕はあの展覧会にびっくりしたんですよ。そこまでやるかって。これだけ力いっぱいものをつくらないとお客さんの心は動かないなって思ったし、すごい勉強になりましたね。
黒田 維新派と何年か仕事をしてきて、あのスタッフたちに出会ったからこそ今回があったと思う。演劇のセットではなくてちゃんと家としても成立するもので、でもそんなに日数をかけて建て込むわけにはいかない。それをできるスタッフと維新派を通して出会えたっていうのは運命的なことやと思うし、垂人やから出来たと思ってる。(※白藤垂人さん。黒田さんの維新派での仕事仲間であり、博物館を実際に設計、建築した人。言ってみればこの展覧会の影のMVPです。)
星川 あれだけのクオリティで造りこめたのは僕も想像以上でした。
黒田 みんなびっくりしてたよね。
星川 ぶっちゃけうちの女子はあれを見るまでは、この展覧会がおもしろいかわからないって言ってましたもん。
ウォーリー 男子向けだと思うんですよ正直。でもお客さんの女子の割合い多かったし、女子のあの食いつき方をみて、これはなかなか捨てたもんじゃないぞ、大阪の女子はいいなあって思いましたよ(笑)。
黒田 いや、基本的に僕の作品のファンは、昔から女子が8割なんだけどね(笑)。ひとりおもしろいこと言った女の子がいて。会場全部ガラスが透けて見えるようにシールド開けてたから(※HEP HALLの片側の壁面は、普段はガラス面が黒いシールドで覆われているのですが、全開するとロビーが丸見えになるのです。)、中から観覧車が見えるようになってたやん。観覧車が、2001年宇宙の旅にでてくるような宇宙ステーションの重力をつくるために回る巨大なシャフトで、観覧車が止まっててホール自体が回ってるように見えるって。それすごいなあって思った。それはCLASS ROOM(※展示作品のひとつ)のコンセプトそのままやから、ようできてるなあ、HEP HALLでやった意味がここにもあったわ、と思った。
ウォーリー それすごいな。よう気づいたなその子。
ウォーリー 黒田さんの作品ひとつづつの話もしたいんですけど。
黒田 どれが好き、とか?
ウォーリー 僕の中でのトピックは、海底の音。黒田さんこれやっちゃうんだって思ったんですよ。あれ、聴診器も込みで良かったなあ。
黒田 お医者さんの話出てきたし、エドモント・テーラーの燃えちゃったところの。僕も医療器具が好きやから、小説のフィードバックをどこまでするか、どんだけ医療器具オブジェを出すかっていうのもあったのよ。
ウォーリー それうれしいな。気つかっていただいてありがとうございます(笑)。
星川 HEP FIVEの入口を入ってHEP館内の猥雑なところを抜けて、あの空間にたどり着くというのは、前段階の仕掛けとしてめちゃめちゃ有効やったなぁと。ファッションビルとのギャップがすごいよかったですね。
ウォーリー シースルーのエレベーターから博物館への流れが、カーブのあるトンネルみたいにふわっと光が入ってくるようでした。(展覧会の始まる前に)第5話で「百年後の博物館」の初日を予測して描こうとした時に、エレベーターのシーンは絶対書こうと思ったんですけど、本物は想像を超えてたから逆に小説が負けたなぁって思いました。
黒田 それは考えてましたから(笑)。何回もエレベーターと階段をシュミレーションして、HEP HALLのガラスがシールド上げたらシースルーになる、あそこがガラスである意味っていうのを使いたくて、だから博物館をはみだしたかった。
星川 図面を見せてもらったときはどこまで分かるかなって思ったんですけど、めちゃくちゃ突き抜けてて、あれも大成功でしたね。あとね、照明がすごく良かった。
ウォーリー 照明めちゃくちゃよかったですね。
黒田 プランは長い付き合いやけど僕の個展は見たことない大塚さん(笑)、シューティングは知り合う前から僕の1冊目の作品集を持ってくれてた直ちゃんで、照明家としてのやりたい事をちゃんと言ってくれたから良かった。HEP HALLで、舞台美術もやったことのある僕の展覧会やから、作品だけに光が当たってる美術館みたいなのは嫌で、廃屋の壊れた屋根から差し込んだ光がたまたま作品に当たってるみたいな、空間全体をつくるようにお願いしてたら、照明のシュートだけで6時間かかったからね(笑)。
星川 もう演劇ですよね。
ウォーリー この展覧会の大きな柱になってましたね、あの照明は。芝居関係者はあの空間で芝居したいって思ったと思いますよ。
星川 そこだけはもったいなかったなと思います。スケジュール的に余裕がなかったんですけど、可能なら僕もあそこで芝居見たかった。
ウォーリー でも僕はそう思わせたことがすごいよかったんじゃないかなって思った。
星川 演出的には演劇寄りな展覧会でしたからね。演劇寄りにしたら美術はどう見えるのかっていうのをしたかったんです。
黒田 僕はあんまり説明したくない、でもちゃんと思いが伝わらないといけない。そこが現代美術の問題点やから。自分ではよう言わんことをどう補完するかっていう作業がいちばん大事で、それはHEP HALLやからできた。そのために色々やりましょうって相談したからね。僕が饒舌に言わなくてもそれがSIBERIAN NEWSPAPERやタテタカコさんの音楽やったり、ウォーリーの小説やったりすることで、イメージが膨らむ、補完してくれる。
星川 今回は、みんなの科学反応が凄かったです。こんなに曲も小説も、展覧会もうまく合うと思わなかったもん(笑)。
ウォーリー おいおいおい(笑)。

